「時差で眠…ふぁ〜、けどとりあえずご飯、クレープ屋行こう」


「飯か?それ」


「お腹が満たされればご飯でしょ」


ま、まぁ…食欲がないよりは、うん。


なんて、無理やり納得する照樹、数年前の何も受け付けない時期の咲名を見てるから、こうして会って談笑しておやつを食事だと言い張る姿さえ安心材料で。


愛おしさで言えば満点。


「タピオカが流行ってるらしいね?」


「おう、すげー行列だぞ。クレープ屋でもタピオカ出してたり、とにかくタピオカだ」


「あんなの昔っからあるのにねェ、こっちにいた頃じゃ見向きもしなかったけど」


「カエルの卵だとか、これで腹膨れるとか言ってたな」


「そー…地元の商店街は数年行ってないけど、あそこは何年経っても変わらないんだろうなー」


タバコ吸っていい?禁煙車、というやり取りを間に三回繰り返したところで、コーヒーの缶を灰皿に、窓は全開でという特別ルールが作られる。


「なんつーか、少し異色だよな。下町感と都会感が入り交じってよ。里帰りしてみりゃいいじゃん、ばぁさんは元気だろ?」


里帰りという程の距離でもなければ、懐かしむ程昔でもない。


「間違いなく里ではあるけど帰る場所じゃーないんだよなぁ。


ママ元気?」


は?


「は?」


驚きはそのまま声に出る。


「連絡は?」


「してないの?」


お互い言いたい事は同じらしく。


「そのー…まだ雪解けは?」


「温暖化とは言えねェ」


まぁいっか、とほぼ無理やり終わらせる話。
これは社長に報告だ、そして母上様には旦那様として直々に報告して頂こう。


あそこは、あの人は。


「俺にゃちーと荷が重い、悪いな」


「気持ちは分かる」


クスクスと、そんなところで気が合う。