35対37。
「よしっ!!よくやった!!」
前半を終了し二点差に迫り追い上げるも、更衣室では決して気を抜くなと強く神崎に押されコートに戻る。
「……」
激しいゴール前の競り合いとターンオーバーの多さからか石井と静香は極端に疲れた顔を見せていた。
(田島もいつもより疲れてるな…。たった前半で。)
三人の様子を見ながらまるでインターハイの準決勝のような対戦カードに神崎はため息つくも、
「あ、翔真!なにそれうまそー♪何味?」
一人全く疲れた様子を微塵にも感じさせない余裕綽々の未茉の笑顔に神崎はぎょっと目を疑った。
「ぶとう味。」
「ぶどう!?翔真ぶどうとか食うの!?」
「え・・・食べちゃダメなの?ぶどう・・・」
あははっとベンチに向かう未茉は翔真のガムを横取りして試合とは思えない程のんきな笑い声を響かせていた。
「ぶどうって顔じゃなくね?」
「じゃどんな顔なの・・・」
「わっかんねーけどっ!あはは」
「本当に颯希君と兄弟なのかしら・・・」
試合会場で歯を見せて笑うなど考えられないと呆れながら呟く神崎を隣の健は聞き逃さずに、
「間違いなく妹ですよ。」
「全然似ても似つかないけど・・・」
「性格もプレースタイルも似てないけど、相手を徹底的に潰しにかかる手も足も出ないディフェンスはよく似てますよ。」
「………」
エースながらもまだ実力を温存しているようにも見えたが、未茉がマークしていた千葉の選手も足がふらつく程の激しいプレスをかけられ体力の消耗が激しく、
「あんなしつこいディフェンスされたの私生まれて初めてだよ……」
悔しそうに何もできずに苛立ちながらベンチを叩くその選手に気づいたことに神崎は、
「あの選手、2Q一度もボールに触れてなかったな。」
バカな……と耳を疑いたくなるようなどや顔の健の言葉だったが、気づくと確かにその通りだった。
涼しい顔してなんてことを簡単にやってのけてしまう選手なんだとーー神崎は鳥肌のたつ腕を押さえながら、
「…確かに同じだわ。」



