田代さんが勝ち誇った笑い声を上げ、あたしの腕を掴んできた。


「なにするの!?」


田代さんから身を離そうとした瞬間、覆いかぶさられていた。


逃げ道が一瞬にしてふさがれ、全身から血の気が引いて行く。


「お前のために命がけでここまで来たんだ。お礼くらいして当然だろう?」


言いながら助手席の背もたれが倒された。


「嫌! 離して!」


必死で抵抗する中、ポケットでスマホが震えた。


太一!


「太一にメッセージを送って! 校舎裏の空き地にいる、助けて!」


あたしは大声で叫んでいた。


その声に反応してスマホが作動する。


「くそっ! 音声認識か」