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《美聡:太一、大丈夫?》


《太一:あぁ。俺はまだ大丈夫》


その文面にひとまず胸をなでおろす。


しかし、『まだ大丈夫』といういい回しに焦りを感じた。


この町でなにが起こっているのかまだわからない。


だけど町を歩けば歩くほど人々の死体が目に入ってくるようになった。


さっきのように自動車に乗ったまま妙な死に方をしている人。


歩いたり、自転車に乗ったりしていてそのままなにかに体を切断され、死んだ人。


その光景を見るたびに吐き気がこみ上げてきた。


それでもここまで来たからには絶対に太一に会いたかった。


とにかく太一が通う井町へ向かうのだ。