グッと両手に力を込めて上るたびにフェンスはガシャガシャと音を立てる。


誰かに気が付かれてしまうのではないかと、気が気ではなかった。


どうにか上まで上りきり、思いっきりジャンプして着地した。


うまく膝のクッションを使うことができて、ほとんど痛みは感じなかった。


そのまま早足で工場裏へ回り、ジメジメとした通路を突っ切った。


突き当りにあるフェンスへ手をかけ、さっきと同様に上り始める。


これを上れば○○町へ入ることができる!


そう思うと自然と息が上がり、手にはじっとりと汗をかいていた。


待っていて太一。


すぐに行くからね!


あたしは心の中でそう思い、フェンスの上から○○町へ向けて飛び降りたのだった。