産まれたての赤子の、何が優れて、何が劣っているのか。
ふつうわからないだろう。
その“ふつう”が、あたしたちには通用しない。
優劣は、たしかに、あたしたちが誕生して生まれた。
あたしとつむぎ、ふたりでひとつをわけっこしたから。
だから。
あたしは選ばれなかった。
明らかに妹だけを愛し、かわいがっている白鳥家に、助けを乞うほど落ちぶれていない。
選ばれる子に、つぅちゃんになりたかったと、切望したことすらない。
あたしも白鳥家を選ばなかった。
それだけのこと。
あたしが選ぶのは。
選んでほしいと願うのは。
魁運、あなただけだよ。
こんなあたしの世界にも、愛があるんだと教えてくれた。
きっと、あの日。
魁運と出会うために、走ってきたの。
「そういうことなら」
「……へ?」
握り合うあたしと魁運の手。
……の、上に、ぽんと置かれた、つぅちゃんの手。
「カイウンさん。ひぃちゃんのこと、よろしくお願いしますね」
え、何、この手は。
触る必要あった? ないよね?
この手はあたしの手だよ! あたしのなの!
離せ!と視線で訴えたら、つぅちゃんはにっこりスマイルで耳打ちしてきた。
「カイウンさん、とってもすてきな人だね」
「は、はいっ!?」
それはどういう意味!?
つぅちゃんはにっこりスマイルをいじわるげに歪め、ぺろっと舌を出した。
その舌先は、ほのかに白っぽい。



