警戒心を解いたようなナチュラルなツッコミ。
そんな魁運に対して、つぅちゃんはきょとんとする。
「え? あなた、ウチの学校知らないの? この制服、けっこう有名だと思うんだけれど」
ベージュ寄りのブラウンに染まるジャンパースカートの裾を、つぅちゃんはひらりとつまみ上げた。
かわいらしい丸襟と、太めの赤リボン。
そして、なんといっても、アイボリーのボレロ。
この辺りでは見かけない、クラシカルな制服。
「つぅちゃんはね、白園学園に通ってるの」
「シラソノ……!? あの、超金持ち学校の?」
やっぱり学校名は有名なんだ。
制服自体は、街中でめったに目にしないもんね。
あたしも本来ならその制服を着ていた。
つぅちゃんは似合ってるけど、あたしは3日で息が詰まりそう。
北校を選んでよかった。
魁運とも同じだし。そこが一番の最高ポイント!
「あそこって極道のヤツも入れるのか……」
「魁運?」
「な、なんでもねぇ!」
「――つむぎ様!」
神社の本殿のほうから、ひとりの男の子が駆け寄ってきた。
黒髪マッシュに、白園学園の制服。
リボンの部分が、男子生徒はループタイだった。
校章入りの金具がついている。
「ご歓談中、失礼し……えっ!? ひ、ひとみ様!?」
「は、はい、ひとみですが……??」
「ばったり会っちゃった」
「ばったりって……えええ……」
あたし、この男の子と会ったことあるっけ?
うーん……初めてだと思うんだけど。
つぅちゃんから話を聞いてたのかな。つぅちゃんも家出のこと知ってたし。



