「……やば」
「え、なに。あのふたりってそゆこと?」
「よく付き合えんな」
「死神と元不登校児か」
「あの子の目、見た? めっちゃ怖いよ」
外野が何やら騒がしいが、今は少し忙しい。
伝家の宝刀を繰り出すために最適なおかずを選ばなければ。
次も大きめなやつがいいな。
から揚げとかいいんじゃない?
甘辛なタレのを箸でつまみ上げ、そして――
「バケモノ同士、お似合いだよ」
――ぽとり、と弁当箱の中に落っことしてしまった。
今……何を、言われた……?
ほんの1秒前まで一切興味のなかった外野の声が、急にクリアに届いた。
あたしの聞きまちがいじゃなければ……。
「ひ、ひとみ……気にするなよ?」
「今のは、さすがに……気にしちゃうよ……っ」
気にしたくもなるよ。
だって……!
お似合いだって!
あたしたちのこと、お似合いって、言われちゃったんだもん!!
いやあ、やっぱりわかっちゃう?
わかる人にはわかっちゃうもんだね。
あたしと魁運が運命で結ばれてること。
魁運の隣にはあたししかいないよね。うん、わかる。
こう見えてまだ付き合ってないんですけどね。
恋人になるより早く、ひとつ屋根の下で暮らしちゃってます! きゃっ!
いつかお似合いカップル特集で一番大きく掲載されちゃうかもね! お楽しみに!



