「……めんどうだな」
「組長、ここは俺が。きみ、そこをどきなさい」
「次来たら、骨へし折るっつったよな? 折られていいってことだな?」
若い男のほうが命令してきた。
最近、ひとみを連行しようとしていた、あのロリコンクソヤローだ。
骨折願望でもあんのかコラ! 容赦しねぇぜ?
ため息をついたのは、年配の男のほうだ。
「ひとみのヤツ、なんでまたこんな……」
「単なる一般宅ならよかったのですが……」
「ああ、実に厄介だ」
「引き寄せられるんですかね?」
「困った娘だ」
何を話してるんだ……?
内容は聞こえても、ちんぷんかんぷんだ。
「こやつらもどうせ、何も知らずにかくまっているのだろう」
「何も知らねぇのはどっちだ!!」
ひとみがどうして家出したのかわかってんのか?
連れ戻されそうになったときも怖がってたんだぞ!?
少しは気持ちをわかろうとしてやれよ!
それができねぇなら帰れ!
「知らない……たしかにそうだな」
認めんの早っ!!
「では訊こう。おい、そこの坊主。貴様が呪われているのは事実か?」
「俺かよ!!」
ちげぇだろ!?
知らなきゃいけねぇのはそっちじゃなくて!
ひとみのことだろうがよ!!
天然か!? 鈍感か!?
俺のことイラつかせようとしてんなら大正解だ。