「なんでこんなことに……」
そんなこんなで。
公園の草むらで、ひとり、ヤンキー座り。
まあ見てのとおりだ。
え? わからないって?
アレだよ。子どもが大好き、かくれんぼ。
俺もひさしぶりに遊んじゃうぞ〜! 負けねぇからな〜!? いぇーい!
……はあ。さすがに無理あるって。
中3にもなって何やってんだ、俺。
「どこにいるか、おしえちゃだめだよー?」
ブランコよりも奥にある大木のほうから、女の子が伸びやかに声を張る。
俺しかいないんだから、そこまで大きな声出さなくてもいいのに。
さっきといい、エネルギー使うタイミング、ずれてね? そういうとこ、まだまだガキだな。
あーあ。俺もあんなふうだったらなあ。
なんて、ないものねだり。
バカバカしいよな。わかってる。
「お兄さんどこかなあ?」
もーいーかい? まーだだよー。
もーいーかい? もーいーよー。
何度か定型文を繰り返し、始まったかくれんぼ。
あ、見当違いなところ行ってら。
あっちこっち探し回ってんな。
そっちじゃねぇよ。こっちだよ。教えてやれねぇけど。
おろおろしてるちっこい少女を眺めるのは、まあまあおもろいな。
ミンミン、蝉の啼き声がよく聞こえる。
むし暑い、かと思えば、緑効果か影のおかげか、そこまで暑くない。
むしろ少し涼しいような……?



