……えっ? 飛んだ?
「!?!?!?」
ちょいちょいちょーーーい!
ふつうじゃねぇにもほどがあんだろ!!
座板から身を離し、文字どおり、飛んだ。
女の子が身ひとつで宙を飛んでいる。
反射的に俺は走っていた。
「ふぅぅ〜〜〜! ……っと、あっ」
「あ、じゃねぇよ……!」
ブランコの周りに設けられた、鉄製の柵の上に軽やかに舞い降りた女の子――が、つるっと足をすべらせた。
落ちそうになったところを、俺がすかさずスライディングキャッチ。
はあ、ギリギリセーフ……。
「おお! お兄さん、ナイスキャーッチ!」
「ナイスキャッチじゃねぇだろ! 気ぃつけろ!!」
「ご、ごめんなさい……」
女の子の前髪が長すぎて、目が完全に隠れてる。
表情が読み取れない。
声色的に、反省はしてくれてんのかな。
「ありがとう、お兄さん」
ま、反省はしてるぽいな。よし。
見たところ、小学2,3年ってところか?
こんなちっちぇー体でよくやるよ。
度胸は俺よりよっぽどある。
「なんでこんな危ねぇことした」
「……だって、みんな、あそんでくれないんだもん」
「前髪が長ぇからじゃねぇの」
「これはいーの! こうするのが一番だって、さいきん気づいたの」
よくわかんねぇが、イマドキの流行りってやつ?
ちょっと前は、眉が丸見えなくらい短すぎるのが流行ってたし、ありえなくはない。
この子がいいなら、いいとして。
「もう二度と危ねぇことすんじゃねぇぞ? わかったな?」
「うん! つぎはせいこうさせるね!」
「そうじゃねぇよ!!」
「あはは! お兄さん、こわーい」
……笑って言うことじゃねえ。
さてはおもしろがってるな? 反省しろ、反省。



