「……ごめん、ひぃちゃん」
暗くうつむくつぅちゃんに、あたしはキョトンとする。
「どうしてつぅちゃんが謝るの?」
「だって、わたしが」
「監視してたのは赤羽くんなのに」
「え?」
「え??」
つぅちゃんと赤羽くんは顔を見合わせる。
何この空気。
ふたりまでキョトンとしてる……?
数拍置いて、ふっ、とふたりそろって噴き出した。
なぜだ。
「ひとみ様、ちがいます」
「誤解だよ」
「何が?」
どこがどうちがうの?
首をかしげるばかりのあたしの手を、つぅちゃんはやさしく引き寄せた。
観念したように力なくほころんでいる。
「ちゃんと教えてあげる。ぜんぶ、話すよ」
「つぅ、ちゃん……?」
「ひぃちゃんのお部屋、行こ。こっちだよ」
やさしかった引き寄せ方が、いきなりグイグイッと強引になる。
この家、つぅちゃんの家じゃないよね!? 部屋の間取り、いつの間に記憶したの!?
お姉ちゃん、ちょっと怖い……。
「お、おい、なに勝手に……!」
「はいはい。ぼくたちは一緒に夕ご飯作りでもしましょうね」
「おまえも仕切ってんじゃねぇよ! ここは俺ん家だって言っただろうが!」
「はいはい、そうですねー。今日はカレーがいいですよねー」
「んなことひとことも言ってねぇ!!」
……あっちはあっちで大変そうだ。



