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「パンは賞味期限が明日の物だけこの中に全部入れてね」
私のその指示に、お互い離れてチェックする。
両端から別々にやってったほうが圧倒的に早いしね。
まぁ、パンって量が多いから1人だと大変だし、今日はちょっと楽できちゃうな。
宮瀬くんって、1回の説明でちゃんとわかってくれるし、全然大変じゃないしな。「莉乃さん」
・・・え?
え、今なんと…?
「…莉乃さん?」
・・・待って。
待ってくれ。
「…なんで名前呼びなの」
「え、だって同じ名字ですし」
「でも別に私たちが名字呼びしてる分にはわかるじゃん。
チーフも私たちのことは宮瀬さんと宮瀬くんでわけてくれてるし」
ほかの人が私たちを両方とも『宮瀬さん』と呼んでたらそりゃわからないだろうけど…私たちは別に名字呼びでもいいんじゃないでしょうか…
「…いやですか?」
「い、いやっていうか…
…別に、いやではないんだけど」
でもなんか、恥ずかしいじゃん…
こんなイケメンに名前呼ばれたことないんだもん…
「じゃあ、莉乃さんで。
俺のことも快って呼んでくれていいんで」
……んもう、仕方ないなぁ…
「はいはい、快って呼ぶよ」
「はい」
そういって彼はまたさわやかに笑った。
この人は女の名前をサラッと呼べちゃうんだなぁ。
まぁこんだけのイケメンだし、女性慣れはしてそうだもんな。
「あ、そういえばなにか用じゃなかった?」
「あ、これなんですけど」
どれどれ、と快の持つパンを見てみたら
「賞味期限今日なんですけど
これはどうしますか?」
……おいおい、今日って。
昨日パンやったやつ誰だよ…
「…これはちょっと、代理と相談だな」
「代理、って
店長代理のことですか?」
「そ。みんな代理って呼ぶの。
それはとりあえずよけておいて。
代理が通ったら聞いてみよ。
それまではとりあえず全部のパンを先に見ちゃえばいいし」
「はい、わかりました」


