一旦サービスカウンターに戻り、チーフの指示通り
宮瀬くんは4号レジへと入った。

私はそのすぐ後ろで、宮瀬くんのレジ業務がちゃんとできているかの確認をする。
商品配置が変ではないか、とか
用語がちゃんと言えてるか、とか
PLU間違えていないかな、とか…

まぁ見る項目はめっちゃあるんだけど


……うん、完璧だわ。

本当に初めて?
え、絶対レジ経験者でしょ?

本当に初めて?


なんなん、その余裕ある笑み。

なんなん、それ。


最初は普通さ、緊張しまくってもっと固くなるよ?ぎこちなくなるよ?
え、なんでそんな冷静なの?

しかも商品配置も全然問題ないし…
PLUもちょっと迷うけど、間違えずに確実に押せてるし…

私最初の頃、コロッケがどれも同じに見えてよく間違えていたのに…


なんかこれ、私いる意味なくない?
なんにも言うことないんだけど…


「宮瀬さん、どう?」

「あー、めちゃくちゃ問題ないですね。
これ絶対私もういらないですよ。
もう一人立ちオッケーです」

「いや、早いよ」


だってなんにも言うことないんだもん。
スキャンのスピードだって、別に速いわけじゃないけど特別遅いわけでもないし
なんかミスしそうもないしさ…


「とりあえずもう8時だし、パン行ってきてよ」

「あ、はい。わかりました」


とりあえず私はその場から離れ、裏に必要なものを取りに行ってから、パン売り場まで向かった。


「莉乃ちゃーん!」


そんな私のことを、佐野さんがでかい声で呼んだ。


「はーい!」

「今からパンだよね?」

「はい、そうですよ!」

「じゃあちょっと、快にパンの片付け方、教えてあげてくれない?」

「えぇ!?私ですか!?」

「いいじゃん、莉乃ちゃんももう先輩なんだから!
じゃ、快もうくるから!」

「え、えぇ!?ちょっと…!」



そういって今日も元気な佐野さんは、サービスカウンターへと戻っていって

代わりに裏から今日もキラキラした笑顔で私に近づいてきたイケメン。



「さっき佐野さんに言われて…
でも俺初めてなんで…」

「いいよ、一緒にやろ。
まずねー」