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翌日、私は約束通り快を家まで迎えに行った。
「莉乃さん、昨日荷物おろせました?」
「う…さすがに全部は無理だから、水はやめてまだ後ろに乗ってる…
でも野菜とかは気合で全部下したよ!
じゃないと今日のごはん困っちゃってたし」
「一人暮らしも大変ですね」
「大変だよー
虫とか出たらもう泣きながら友達の彼氏に電話してる」
「いや、友達の彼氏って友達じゃないんですか」
「あ、友達か」
そっかぁ、藤澤も美優経由だけど友達なのか。
なんかあんまり意識してなかったけど、連絡先も知ってるし、夜でもうちに来て虫退治してくれるし。
そしたら連絡先交換してないけど西野くんももう友達なのかな。
「……莉乃さんちって、どの辺なんですか?」
「あ、快んちから西にまっすぐ行ったとこ。
意外と近いよ」
「え、そうなんですね。
もっと大学の方かと思っていました」
「そしたらあの店でバイトしてないって」
「それもそうですね」
「快こそ、大学もそこそこ遠くて、バイト先もそこそこ遠いのに自転車なんて大変じゃない?」
「あー、俺も車買いたいので
ちょっとそれまでは貯金期間です」
「へぇ、えらいね」
私なんて田舎に移るからって、おばあちゃんに買ってもらったのに。
おばあちゃんもポーンと買ってくれたしな…


