「もし、自転車のとこで待たれたりとかして本当に困ったら、私と出勤かぶってるときは私が送迎してあげるから、いつでもいいなよ?
ほら、私って困ってる人助けなきゃ気が済まない性格だし」
「いや、それは本当に遠慮しときます」
「うわ、なんかめっちゃ拒否られた」
「あ、莉乃さんが悪いとかそういうんじゃなくて
…前、俺と仲良かった女友達いたんですけど、その子も結局ほかの女子たちから嫌がらせされてて…俺全然知らなくて
結局、ひどい誹謗中傷されて自殺しちゃって」
「え!?」
「あ、でもなんとか助かったのでまだ生きてはいるんですけど
……でも、記憶喪失で、俺のことはもうわからなくて
家族のこととかは忘れてないみたいんですけど、俺のことはわからなくて
でも俺と関わってそんなことになったんで、俺はもうこのまま離れようって思ったんです」
「…そっか。
そのせいで女性不信になったの?」
「……まぁ、原因のひとつ、ですかね…」
「あ、じゃあまだあるんだ」
「……彼女も、中学の頃から付き合ってた彼女がいたんですけど
その子もいじめられてて、それも俺知らなくて
初めてそれを目撃されたとき、言われたんです。
快と付き合うんじゃなかった、って。
そのあと友達も自殺しようとして
なんかもう俺女子と関わるなって感じじゃないですか。
それから、ですね。女性不信になったの」
「…そっか」
なんか、悲しいね。
快はなんにも悪くないのに。
彼女や友達だって、なんにも悪くないのに。
どうしてそんなことで、誰かを傷つけようとするんだろう。
本当、女ってよくわからないな…
「だから、莉乃さんもあんまり俺と関わらないほうがいいんです」
「そんなん私は気にしないよ」
「俺が気にします」
そう、本気で快に言われてしまったから、私には返す言葉がなかった。
きっと、言わないだけで本当はもっともっといろんなことがあったんだろうな…


