僕からの溺愛特等席



「はい?」眉をしかめて首をかしげる。


思っていた反応とちがって、なんだかモヤモヤしながら私はつづける。


「だから、こんな風に私のことを誘っちゃ駄目だよ。その彼女に誤解されたら良くないでしょ?」


 どんな顔をしているのだろうと、糸くん盗み見ると彼は傷ついたような、それでいて怒っているような複雑な表情をしていた。



「……何を言ってるんですか、野間さん。勘違いしてるのは多分野間さんの方だと思うんですけど」


「え?」


それこそどういうことか説明して欲しい。


「僕、幼なじみのこと、別に好きじゃないですよ」

「ええっ、……そうなの!?」

「なんでそんな風に思ったんですか」



「旭さんも勘違いしてたのかな……」


糸くんは優美さんという幼なじみのことが好きだと聞いたのは旭さんからだ。とすると旭さんも勘違いしていたことになる。


「兄さん? 兄さんがそう言ったんですか?」切迫した声で糸くんが言った。