兄さんと野間さんが出ていった。何も出来ずに佇む僕は、悔しい他ない。
『そういうのは好きな子にしかしちゃダメ』
そんなこと、分かってる。
だから、送ったり、泥酔した野間さんをわざわざ迎えに行ったりしてるんだ。
そんなめんどくさいこと、好きでもない人にするわけが無いし、僕が人への関心が極度に薄いこと、そして、面倒くさがりなことを兄さんはよく知っている。
知っていて、言ったとすれば……僕は兄さんから宣戦布告を受けたことになる。
「この子は俺が貰う、お前は大人しくしていろ」僕にはそうはっきりと聞こえた。
最悪だ。
ここまで来ると、野間さんにまで腹が立ってくる。
いつ何時も愛想を振りまくから、悪い虫がつくんだ。………とか、文句を垂れてもしょうがない。
それも僕が彼女を好きな理由のひとつでもあるんだから、困ったものだ。
「この店で、誘惑するのには限界があるし、悠長に構えてたら、野間さんは一生、手に入らないかもしれない。相手が兄さんなら尚更だ」



