僕からの溺愛特等席



挙動不審な私に構わず、旭さんは実にあっさりとしていた。



「ああ、凄い雨だもんね。傘もってなかったの?」


「ええ、はい。急に降ってきたので……」


「じゃあ、送って行ってあげるよ」

旭さんは気前よく言った。


「旭さん、何かここに用事があったんじゃ」


「ああ、大したことじゃないから、いいんだ」


「でも、」



 甘い誘いには、裏がある。


考えすぎかな。


 旭さんに送ってもらうとなれば、怒られる、というかこの状況を咎められるような予感があった。



 また邪魔してたのか、なんて今度は直接言われようもんなら、私のモヤモヤはしばらく消えずに、胡座をかいてどっしり座り込むだろう。



 私はそんなこんなで、旭さんと帰るのが憂鬱だった。


 子供が小学校でやらかしたことを家に報告されて、帰ればお母さんに怒られることが分かっている時の気持ちだ。