「そうじゃなくって。……はあ、分かってないです。野間さんはまったく僕のことを分かってない。でも、僕は分かる りますよ。野間さんがそういう目で見てないってこと」
「ごめん、意味が……」
そういう目、とは………自分に問いただそう。
彼は優美さんのことが好きなんだよね? 少なくとも私はそう聞いたのだけれど。それは、違うの?
私にこれ程良くしてくれるのは後輩のだから? それ以外に何かあるだろうか。
糸くんの手が私の頬に触れようとする。
「僕は、野間さんのこと───」
ガランと音が鳴った。入口が開いたのだ。私達は、ばっとそちらを向く。
「あれ? 二人とも何してるの?」
旭さんだった。入ってきたドアから済ました顔で私達を見ている。
私は、それがスイッチになって、すっと頭が冴えた。不味い、また変な勘違いをされる、と慌てて立ち上がった。
「いや、あの。これは……雨宿りさせて頂いていて」
これは、いよいよ怪しい振る舞いをしてしまった。本当の事なのに、嘘をついたような言い方になっている。



