僕からの溺愛特等席




私は約三週間ぶりにヴァン・ダインに訪れた。


相馬さんに相談をしてからも、何となく足が遠のいてしまって仕事帰りに寄ることもしなくなっていた。



 その日の仕事帰り道、空を見れば雲行きが怪しくなってきていた。


ぽつぽつと雨粒が落ちてきたと思えば、瞬く間にザーザーと土砂降りの雨に変わった。



傘も持っていなかった私は、ヴァン・ダインの軒下に入り、やり過ごそうと思ったのだけれど。雨は一向に止みそうにない。



 色々あったから………だから、その扉を開ける時は酷く重く感じた。でも、まあ雨宿りくらいなら。



「いらっしゃいま、せ」


糸くんが私を見つけた瞬間、驚いて目を見開いた。



「ひ、久しぶりだね」



私は意識しすぎて、言葉に詰まった。一人だけ気にしすぎていて恥ずかしい。



「ずぶ濡れじゃないですか! ちょっと、待ってて下さい」


 糸くんは駆け足で二階へ消えていった。自分の有様を見て苦笑いする。


ボトボトに濡れて、服が身体に引っ付いていた。


 糸くんが階段から姿を現した。



「今日はもうお客さんも来ないと思うんで、ゆっくりしていってください」


 私はソファーのテーブル席にに腰掛けるように促され、従う。