僕からの溺愛特等席



私は一通り話し終えて、鏡越しに相馬さんを見る。



「なるほどお。うーん、なんかモヤモヤしますね。心配していたか………」


「つまり、私は旭さんに釘を刺されたんですよね。二人を分かつな、と」


 そうとしか考えられないんだけど、弟のためにそこまでするような人には思えなかったんだよね。


初めて会った時も、糸くんを心配していると言いながら棘のある言い方をしていたし。



「案外、本当に三春さんのことを心配してたって線も捨てられないですよ」



 ここまで色々話すとすっかり打ち解けて、ただの悩み相談みたくなっていた。



「確かに心配なだけだったら、わざわざ糸くんと優美さんが両想いだってことを言う必要はないですし。

もし、仮にですよ、三春さんが本当は糸くんのことが好きだとして、

その二人が両思いだって聞かされたら、絶対に傷つくじゃないですか」


「凄いです、相馬さん。鋭い」



 今日の私はそれしか言っていない。



「純粋な気持ちの『心配』とはかけ離れてる気がします」


「ああ、憂鬱だあ。翻弄されている気がしてらならない」


「はいはい、分かりましたよ。三春さんの憂鬱の種が」


 私はすっかり切りそろえられ、カットが終わった髪を振り、後ろを向く。相馬さんが見透かしたように笑った。



「その後輩の喫茶店に今まで通り通っても、いいものか悩んでるんでしょう?」