私もこのモヤモヤした気持ちを誰かに話してスッキリしたい気持ちでもあったし、聞いてくれるならと、私は話し始めた。




 まず、諸情報として、私が後輩がやっている喫茶に通っていることと、


そのお兄さんが店を手伝いに来ているということをざっくり話した。



「で、二日前にもヴァン・ダインに行こうと思って店の前まで来たんですけど。
ちょうどそこでお兄さんの旭さんとばったり会ったんです」



「それは、何だかロマンチックですね」



 私は首を動かせなかったので、変わりに手をぶんぶんと振った。


「まさか、むしろ絶妙なタイミング過ぎて、びっくりして転けそうになったくらいですよ」


「実は陰で見てたとか?」


相馬さんが茶化す。


「いやいや、流石にそんなことはないと思いますけど」


「えっと………それで、どうなったんですか?」


 私はカットに支障がきたさない程度に頷く。


「それで、話したいことがあるとか言って、私は旭さんに連れられて他の喫茶店に入ったんです」


「ほお、ヴァン・ダインじゃなくて他の喫茶店に行ったんですか」


「ええ、私もてっきりヴァン・ダインに入ると思ってたんですけど、
そこじゃあ話しずらいからっていうことで」


 そのことから、だいたい糸くんにまつわる話なのかな、と的を絞っていた。