僕からの溺愛特等席




「へえ、なるほどね」



お兄さんは顎に手をやって、値踏みするように私を見た。


そのまとわりつく様な目がオークションの商品に、幾らの価値があるかと推し量っているようでもあり、



最後には値段を言い放たれそうな予感さえもあった………落札!と。



 視線から逃れたくなって、糸くんを見ると、冷たい目でお兄さんを見据え唇を赤くなってしまうまで噛みしめていた。


やはり、様子が普段とは違って見えた。



 大丈夫? の言葉が出る、その前にお兄さんが口を開いた。




「ああ、自己紹介がまだだったね」


 お兄さんの言葉に視線を戻す。


「糸の兄の当麻 旭と言います。弟がお世話になっています」


「いえいえ、そんな」と私は言ったが、実際はお世話になってるのは私の方ですと、恐縮する気持ちである。



 糸くん、本当にどうしてしまったんだろう。静かにグラスを拭き、俯いている。


その表情は垂れた前髪で分からない。でも、良い感情が髪の下にあるとは思えなかった。