「ふーん。そう」
糸くんはキッチンへ戻っていく。二人は兄弟なのか、道理で似ているわけだ。
しかし、顔は似ているが、性格は真反対のように感じた。
糸くんが月なら、お兄さんの印象は太陽だ。
あまり仲が良さそうには見えなかった。
私はそれをカウンターから静かに伺っていると、お兄さんと目があった。
「あれ? そちらの方は?」
その人は笑みを傾け、私と糸くんとを交互に見た。紹介してくれ、と言外にはある。
「別にいいだろう、兄さんには関係ない」
やけにバツが悪そうに、頭をかいている。糸くんがどうであれ私は挨拶した方が良さそうだ。
「あ、初めまして、野間 三春と申します。糸くんとは大学のサークルで知り合って、仲良くさせてもらってます」
心の中では、お世話になっています、と付け足した。



