そう言われて腕を見ると、掴まれた型が残っていた。
私は色が白いから赤い色が余計に目立っていた。見た目だけでそんなでもない。
実際、言われるまで気づかなかったし。
何より私よりも糸くん方がよっぽど痛そうな顔をしていて、ちょっと可笑しかった。
「痛くないから大丈夫だよ」
「湿布だけでも貼った方が……」
「いいよ、ほんとに痛くないの」
「そうですか」
しょんぼりと小さい声で糸くんは言った。
「それに、お詫びなんて、いりませんから。これからも僕の店に来てください」
「うん、私もあの店が大好きだから」
私は顔を綻ばせる。
恥ずかしい失態を晒したわけだけど、それでも、あの店の、あの雰囲気を失わずに済んでほっとした。
「ありがとう。じゃあ、私、帰るね」
「待って、待って」
今度は腕を掴まずに、肩を引き寄せられる。
「もうちょっと一緒にいてください」
「いや、でも」
いくらなんでも、ずるずる居座るのも悪い。
けれど、仔犬のような目で見てくる糸くんは狡い気がする。
クールなのに彼は時々、とびきり甘い顔をするのだ。



