「今日は仕事ですか?」
糸くんが聞いてくる。何となく顔を上げられなかったので、ただ首を振った。
「今日は休み……です」
「じゃあもう少し、寝ましょうよ。喫茶店は十一時からですし」
「いやいや、そういう訳には、流石に帰るよ。ほんとに、昨日はごめんなさい」
後輩の家に泊めてもらって、その挙句、着替えまでさせるなんて、私はどうしようもない人間だ。
次からは、多分、顔向け出来ない。
これが縁の切れ目になってしまったのかもしれない。
金の切れ目が縁の切れ目というけれど、
醜態晒したが最後、縁の切れ目とは私がパイオニアになってしまうみたいだ。
「あの」
ベッドから降りようとすると、糸くんに腕を掴まれた。
感情の捉えさせない目で私を見上げる。
「これで終わりなんて言いませんよね」
私は頷く。
もちろん、お世話になるだけなって、はい、さようならはいくらなんでも酷い。
「分かってる。ちゃんとお詫びはするから」



