やましい気持ちなんてひとつも無い、とは言いきれないからだろう。
男なら誰でもそうだ。
というか、よく今まで無事だったよな。僕ならすぐにでもその気になってしまうのに。
僕は複雑な気持ちになりながら、彼女の耳元に顔を寄せる。
「もう少し、寝てて良いですよ」
するとどうだか、彼女は催眠にでもかかったように静かに寝息を立て始めた。
階段を上る。
リビングを通り抜けて、僕の部屋のベッドに優しく下ろした。
火照った顔はいつもより大人っぽい。
そして、ついつい艶やかな唇に目がいく。
親指で彼女の唇をなぞり、駄目だ駄目だと分かっていても、吸い込まれるように自分のと重ねた。
「あまっ」
デザートにアイスでも食べたのだろうか。バニラの味がした。
「ほんと無防備にも、程があるな」
今しがた僕にキスされた彼女は、まだ寝息を立てている。



