僕からの溺愛特等席




「ええ?」私は、目を瞬かせる。


珍しい? 


何で?



「三春ちゃんと喫茶店に行った時は、そんな素振り全くなかったのに、いつの間にそんなになってるのよ」



私はぐったりと居酒屋の壁にもたれ掛かり、思いを馳せているわけでもなし、

華ちゃんの問に困っているでもなくぼんやりと天井を見上げた。



「そんなこと?」


疑問形ばかりが口をつく。



「草食系ならぬ絶食系かと思ってたら、肉食も肉食の、
ガッツリ系だったなんて、ギャップだねえ」



最早、華ちゃんは独り言のように、ぶつぶつ言っていた。



ギャップという言葉が聞こえて私は大きく同意する。



「ああ、そう……そうなの! ギャップなの、うん。ギャップ。糸くんを一言で表現するとギャップだ」



もう、何を言ってるのか、自分でも分からなくなってきた。

クラクラして、回らない頭でこんな所を糸くんに見られたら恥ずかしいなあと顔を赤くした。




言葉を発する度に、お酒が回っていく気がした。