それならそうと言ってくれてもいいのに。
「時間のある時に取りに来てください。僕、待ってますから」
わかった。じゃあ、明日取りに行くね、
といって電話を切った。
ポケットに仕舞って、ふぅ、と息を吐く。
お腹も空いたし、戻ろうと来た道を歩き出した。
「あれ?」
後ろから声がした。振り返ると、同僚の水木 華ちゃんがいた。
「今日は外でご飯?」
「ううん。電話してただけだよ。お昼はロッカールームで食べるつもり」
もう二時を過ぎている。
遅いお昼ご飯だ。
華ちゃんの手にはお弁当の包が握られているので、彼女は中庭で食べるつもりなのだろう。



