僕からの溺愛特等席




それをパラパラとめくって読んでいると、しばらくして、ホットサンドのいい香りが漂ってきた。



「お待たせしました。ホットサンドです」



 私は小説をカウンターの端に寄せて、机に置かれたホットサンドを見つめる。




「ボリューム満点だね。とっても美味しそう」


 前に食べた時よりも厚みがあるように見える。


「ちょっとしたサービスですよ」


「やったあ、ありがとう。頂きます」




 食欲をそそられる香りに、今にもお腹がギューッと鳴いてしまいそうだ。



「召し上がれ」



 糸くんはゆるりと口角を上げてカウンターの中へと戻った。




 サラダ系と厚焼き玉子が挟まった二種類のホットサンドに私は夢中になる。



美味しいななんて頬張っていると、ふと視線を感じた。



何気なく顔を上げると糸くんが観察でもするように、こちらを見ていた。