僕からの溺愛特等席




 先週の夜勤地獄からやっと解放された私は、
喫茶 ヴァン・ダインで夕食を食べて帰ることにした。



一人暮らしを初めて三年経つが、料理はあまり得意とは言えない。



今日は何を食べようかなと考えながら扉を開けと、糸くんが席の片付けをしていた。



私に気づき、ぱっと顔を持ち上げて微笑む。



「いらっしゃいませ」



 入ってまず、店の雰囲気が違った。



「今日お客さん多いね」


 キョロキョロと見渡す。どうやら、テーブル席は満席みたいだ。



「雑誌で紹介されてから、お昼時や夕食の時間は最近、結構お客さんがいらっしゃるんです」



糸くんは穏やかに言った。あの雑誌の影響力はそれほどのものなのか。