────彼女の心がほかの誰かへ向いてしまうならば、僕は繋ぎ止めるまでだ。
僕の世界に色を注いでくれた野間 三春に捧ぐ。
「……私に捧ぐ?」
また次のページへ進もうとした時、
「三春さん?」糸くんが顔を出した。
そして私の見ている本に気づくと
「ああ!!」
ものすごい形相で糸くんは書斎に入ってきた。
「……それ、みた?」
「う、うん」
「は、恥ずかしいから返してもらっていいですか」
糸くんは顔を手で覆い隠しながら言う。
「それは、その……僕の手記というか、僕達の馴れ初めというか……ああ、もうダメだ失態もいいところだ……」
1ページ目には確かに私に捧ぐと書いてあった。
とても内容が気になる。糸くん私のことをどんな風に書いたのだろう。
「見ちゃダメ?」
私は糸くんの顔を覗き込んで、声をかけたが、ぶんぶんと首を振って
「絶対だめです!」と言われた。
何度も頼んでみたけれどやっぱり恥ずかしいらしく、読ませてはくれなかった。



