僕はミステリーが好きだが、
それ以上に、いや、比べ物にならないくらいに野間さんが好きだ。
どんくさいのに一生懸命で、ふんわりと柔らかい木漏れ日のような笑みを浮かべる彼女は、
僕の目にはとても新鮮に写った。
「お前はクールを通り越して冷たい奴だ」
なんてよく言われるが、そんなことは無い。
クールでもなければ冷たくもないし。
ただ人に興味が無いだけなんだ。そんな僕が一途に野間さんを思い続けている。
自分でも健気だと感心するくらいひっそりと。
僕が勇気を出して野間さんに声をかけたのは、サークルに入ってから、軽く三ヶ月は経過していた。
なんて声をかけたか、思い出すのに時間がかかる。



