僕からの溺愛特等席



「喫茶 ヴァン・ダイン」は父の店だった。



大学二年の冬、急病で倒れた父の代わりに店を任され大学を中退した。



もし、僕が二年早く生まれていたら、喫茶店は継がなかっただろう。



大学中退に迷わなかった訳は、その年の春で二年先輩の野間 三春さんが卒業してしまうからだ。



「この店がもし、野間さんの家から遠かったら来てくれるか」


と聞いたが、あからさまにスルーされてしまった。



 僕は肝を冷し、



 そして「近くて良かったな」と安心して、



「もし、彼女が引越しでもして遠くに行ってしまったら」


と思うと僕は簡単に青ざめた。