僕からの溺愛特等席



話の中で聞いただけだったのだが、私のイメージしていた雰囲気をそのまま具現化したような優しそうな人だった。



「三春さんは俺がこの店に来る度にここにいるね。偶然か、それとも糸からの当て付けなのかな」

旭さんが言う。

「そうだ、三春さん。前に言ったこと覚えてるよね」


「え、ええ」

肯定するも、糸くんのいる方から物凄い視線を感じた。

「何を言われたんですか?」



案の定、糸くんは聞いてくる。



こ、告白まがいのことを言われました。なんて言えるわけがなくて、話を逸らすべく


「それより、私はお邪魔のようなので、上に戻るね」と踵を返そうとした。



が、「いえいえ、邪魔なんかじゃないですよ」と言ったのは糸くんではなく、美優さんだった。



「私も気になります。旭くんからなんて言われたのか」

「いや、あの………」

「俺と三春さんとの秘密だよね?」



 その言葉を聞いた糸くんは、不機嫌に舌打ちをする。



「でも、特別に教えてあげるよ」


 緩く微笑む旭さんとは対照的に私は冷や汗が流れる。

糸くんに聞かれたくない。なぜかそう思った。