4月になり、私は2年生になった。

「お、隣、美音じゃん。
やっぱり俺たち、腐れ縁だな。」

そう言って隣に座ったのは、牧村 友哉(まきむら ともや)

小学校6年間同じクラスだった男子。

中1の時、初めてクラスが別れた。

「ええ!? また友哉?」

五十音順の出席番号は、必然的に近くなる事が多く、年度初めはいつも友哉の席に近くの席になる。

なんだかんだ言って、私たちはワイワイと楽しい新学年をスタートした。

うちの学校は、5月にいきなり2泊3日の宿泊研修がある。

班を決め、係を決め、あっという間に5月になり、出発する。

バスで港まで行き、船で離島に行く。

「美音、遅い!
ほら、荷物貸せよ。」

友哉が自分の荷物と一緒に私の荷物も肩から下げて、私の手を引いていく。

「え、ちょっと待って。
そんなに慌てなくても大丈夫だよ。」

確かに私は、のんびりしてるかもしれないけど、他の子だってそんなに急いでないじゃない。

友哉は昔からせっかちなところがある。

面倒見が良くていい奴なんだけど、振り回されるこちらとしては、いい加減、少し落ち着いてほしい。