夕方になると、みんなは勝利の余韻に浸りながらそれぞれの家路ついていった。


「まだ信じらんねぇよ、俺・・・・」

「すげぇ先輩たちだよな」

「この学校に入ってよかったよ、俺・・・・」


1年生、2年生の部員たちが口々にそう言いながら部室を後にしていった。


「稜がキャプテンで本当によかった。高校最後の年に甲子園に行けるなんて・・・・。母ちゃんを喜ばせてやれるよ」

「俺は補欠だけど、稜が“みんなを甲子園へ”って言ってくれたとき、すげぇ嬉しかった。稜に付いてきてよかった」

「俺ら補欠組の夢も一緒に背負ってくれてありがとう。稜は最高のキャプテンだ!」


試合に出られなかった同じ3年生の部員たちからも、そんな言葉が稜ちゃんに贈られていた。

そして、その部員たちも、1人、また1人と帰っていった。


「頑張れよ、稜!」


岡田君は一言そう言って、稜ちゃんの背中をバシッ!と叩いて帰っていった。

本当、最高の仲間だね。


わたしは、その数々の言葉を聞きながら、もらった千羽鶴や部室の片付けをしていた。