視界に映る全ての物の時が止まって。
呼吸音すら、聞こえない。
私とおばあさん以外から色が消え去る。
「え....えぇ~!」
思わず声を上げてしまい、手で口を塞ぐ。
私の様子に可笑しそうなおばあさん。
ローブが揺れる。
「ふふっ....驚かせてしまってすまんね。
私は「妖精売り」
時間をたゆたい、「恋」を売り歩く者。
お嬢ちゃんは?」
「さ、咲です!これは....」
私は口をパクパクさせる。
「お嬢ちゃんと2人になりたくてな!
時を止めた!!」
何でもないことのように、
ニコニコするおばあさん。
「時を止めた....!?」
その言葉にめまいがする。
「いったい貴方....?」
「だから、「妖精売り」じゃよ!」

