それでも、ほんの少しだけ。
息をするのが苦しくなる時がある。
変わらない毎日に、
立ち止まりそうになる。
「でも....」
私自身には、この日々を変える力も勇気もない。
いつの間にか外れていたヘッドホンを付け直す。
私の大好きな歌が流れてる。
「運命の恋」を歌ってる。
今を全力で生きている。
「羨ましいなぁ」
どうしても、そう思ってしまう。
贅沢だって分かってるけど。
自分だけのただ1人
運命の人
なんて素敵な響きだろう。
誰かと全力で生きてみたい。
この気持ちはどうしようもない。
「恋したいなぁ~」
「妖精はいらんかね?」
一瞬、私へ向けられた声だって、
分からなかった。
その声はまるで....。
「お嬢ちゃん。妖精はいらんかね?」
振り返った先には、
魔女みたいなおばあさんが笑っていた。

