狼の愛したお姫様



それから俺は病院を脱走した。


宛もなく、ただ賑わうここへ来て、一人を紛らわせていた。



「君かっこいいねぇ。一人?お姉さんと遊ばない?」


肩に触れる手を勢いよく振り払うと、その女の後ろからガタイのいい男が出てきた。



「お前俺の女に何しとんのや」


…俺の女?



「ソイツ、俺の事誘ってきたけど?」



そう鼻で笑ってやると、男はいきなり俺をぶん殴ってきた。



「…ってぇな…」



親父に抗ってきた俺は、ある程度喧嘩もできるようになっていた。

…まさかこういう風にそれを使うとは思ってなかったけどな。