吉乃くん。
今日は一度も会っていない。学年も違うし、連絡先を交換したわけでもないし、今日は遅刻したから電車で遭遇することもなかった。
っていや、それが普通なんだけど。
別に吉乃くんに会えなくても寂しいと思っているわけではないし、数日前までは吉乃くんと話したこともなければ、顔も名前も知らなかったんだ。
それが普通。
これまでの、私にとっての当たり前。
吉乃くんとは“先輩”と“後輩”でいるべきだった。
昨日交わした温度は間違っていた。
だから───…
「───あ、また偶然ですね」
吉乃くんに会えることを当たり前に思っていけないんだ。



