熄えないで



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「蛍原さんは、…成川くんに気持ちを伝えるとき、怖くなかった?」

「…、」

「私は、吉乃くんの気持ちが変わっていなくても怖い。吉乃くんにこれ以上溺れていくのが、…私は怖くてたまらない」



蒼志くんに、蛍原さんの連絡先を教えてもらってここに呼び出した。

仕事の合間を縫って彼女は来てくれた。
それだけで十分、蛍原さんの優しさを感じる。


蛍原さんは、何も言わず私の震える声を聞いていた。




愛は届いてようやく形になると蒼志くんが言った。

それがすとん、と私の中に吸収されて、今は怖さよりも、“はやく伝えたい”という気持ちが勝っている。


けれどその前に、どうしても蛍原さんの声が聴きたかったのだ。


相手の気持ちが自分に向いていなかったころからずっと愛を形にしてきた彼女が、本当はずっとどんな気持ちだったのか。