「どうやら今回は、
私の出番は無さそうですね。」
「・・被害者が居ないとなると・・死者が視えるこの力は発揮できませんよね・・。」
「飛ばない豚はただの豚です。見てください屋上から見ると人がゴミのようです。それよりコンクリートロードはやめたほうがいいです。それでも共に生きましょう会いに行きますヤックルに乗って。ところで私の本当の名はニギハヤミコハクヌシです。そういえば君にサンは救・・」
なるほど・・・。
刑事課の仲間の皆に対して、
“役に立てなくて申し訳ない”と豊川さんなりに落ち込んでるのか・・。
“落ち込むと、
ジブリの名言集を超早口で呟きだす”
なんて噂を梅田課長から聞いた事があるけど、まさにその通りだった。
実写系だとそこに映り込む霊や死者の姿が全て見えてしまうからと、
普段テレビやメディアは、
全く観ない豊川さんが、
唯一欠かさず観てるのがジブリ映画だそうで・・・
「という事で、
リュシータ・トエル・ウル・ラピュタ君。
私は梅田課長と一緒にお茶でも飲んでます。」
「星野です。
でも新情報が出たら共有しますので、豊川さんのお考えも随所でお聞かせください。」
死者が視えるという理由だけで、この人が刑事課の中心に君臨しているわけではない。
梅田課長も関本主任も一目置く豊川さんの鋭い洞察眼は、
僕達に無くてはならない唯一無二の武器。
「・・あ、はい分かりました。急ぎます。」
しばらくすると、旦那さんが到着したと連絡が入ったので遺体安置所へと向かった。
第2章 完