『好きだよ多岐くん』


『私に残りの人生くださぁい!』


『あいらーびゅーべいーべーはんはんはんはんはーんはーん』



頭の中で多岐くんになんて声をかけるべきかずっと考えている


ぼっとしてて犬飼先生に怒られたりしたけど


結局今日一日私の脳内は多岐くん一色だった


…まあ今日に限ったことじゃないけど


だって好きだもん

多岐くんだもん


多岐くんの口から、多岐くんの声で、多岐くんの表情で言った一言


『好きだよ』


たった四文字だけど、私の脳内を24時間占領するには十分


私は不器用な上にバカだから、多岐くんの一言で身体中の細胞が暴れるほどに取り乱す


今日はまだ一度も多岐くんを見ていない


まあ普段も会えるのは放課後、とたまに昼休み


そのくらいの確率でしかこの狭い学校内では巡り会えない



…会いたい


会って、好きだって言いたい


あわよくば、


好きだって、言われたい