そんなことを考えながら、繰り返されるドアの音を聞いてると、 『ねー、ホントはいるんでしょっ?』 女の人の声が荒くなってきた。 『電気ついてるしっ!』 ……そう言えば、少し前に帰ってきた音はしてたような……。 もしかして、居留守? 「どれどれ……?」 なんだか怪しい雲行きに、浴衣の試着どころじゃなくなったあたしは、そーっとベランダに近づいた。 こういうのって、悪いと思いながら興味が湧いちゃうんだよね。