こんなに苛立っている自分が一番分からない。
てっきり弁明してくるかと思った健斗は、急に私の後頭部をグイッと引き寄せて、唇を合わせた。
突然のことに目を閉じるのも忘れて、すぐに離れていく顔を見る。
「なに、急に…!」
全然そんなムードではなかった。
むしろ険悪になる一歩手前だったのに。
急にキスするなんて。しかもこんな人前で。
幸い人々は歩いている着ぐるみに目線が集まっていたけど。
「涼子さんがあまりに可愛くて…」
そのままの流れで力強く抱きしめられる。
「好き過ぎておかしくなりそう。ほんと、あんまり可愛いこと言わないで」
「私そんなこと言ってない、」
むしろ素っ気なくて可愛くなかったと思うのに。



