「相変わらず亜子は人気者だね」

友達との雑談が終わり、やっと教室に向かいはじめると、隣にいた友香も歩きだした。

「別に人気者なんかじゃないよ」

「なに言ってるの。今年もミスコンに選ばれたでしょ」


一学期末に行われた文化祭。地域の人との交流を目的とした小さなイベントだけど、一応生徒たちの出し物もあり、その中でも毎年盛り上がりを見せるのが男女学年別に美男美女を決めるミス・コンテストだ。

ひとり一票ずつ名前を書いて投票箱に入れる決まりになっていて、私はありがたいことに三年連続選んでもらった。

友達は昔から多いほうなので、おそらく仲良し票も含まれていると思うけれど、後輩たちからは学校のマドンナなんて言われているらしい。

ちょっと、というか、だいぶ恥ずかしいけれど、そうやって慕ってくれていることが素直に嬉しかった。


「亜子。金賞おめでとう!」

教室に入ると、クラスメイトからお祝いの言葉を言われた。

 
「え、金賞って?」

「ほら、前に授業の一環で絵を大会に出したじゃん。あれの結果が美術室の前に貼られてて、亜子の作品が金賞獲ったんだよ」

「本当に?」

たしかみんなで地球をテーマにして描いたものだったと思うけれど、金賞なんて信じられない。