私は全速力で走った。それは何度も通った自分の家へと続く道。

「……ハア、ハア」と息を切らせながらやっと団地が見えてきた。


「お姉ちゃん。今日も夕御飯の支度の手伝いするからね」

「由美もお箸の準備する!」

すると、誰かが公園から出てきた。それは、悟史と由美だった。

声をかけようとすると、悟史と由美の頭を撫でる人物が。


「ありがとうね、亜美。今まで苦労かけたけど、私なりに少しずつ公園に行ったり外に出ることも増やして、亜美のためにも病気を治すから」

そう言って、お母さんは隣にいる未来に笑いかけていた。


四人は仲良く横並びになって、みんなで手を繋いでいる。


「贅沢なんてできなくても、普通が一番だよね。私、お母さんと悟史と由美の家族になれて幸せだよ」

その瞬間、未来と目が合った。

未来は絶望した私の顔を見てクスリとしたあと、家の中へと入っていった。


悟史、由美、お母さん……。

それは私じゃない。本当の私はここだよ……!