「未来ちゃん?」
ふらふらと道を歩いていると、スーパーからエコバッグを持ったママが出てきた。
「泣きそうな顔をしてどうしたのよ」
「……うう……」
なんて説明したらいいのか分からなくて涙ばかりが溢れる私のことを、ママは慰めてくれた。
「元気がない時には、美味しいものを食べよう? ほら、今日もまた高いお肉よ。未来ちゃんのためにママお料理頑張るから」
「ママ……」
大丈夫。味方ならここにいる。
これからどうなるか分からないけれど、なにもかもを失ったわけじゃない。
優しい両親がいて、大きな家があって、お金もある。
最悪学校を変えることもできるし、そこで新しく友達を作ればそれでいいことだ。
「ふたりとも、おかえり」
家に着いてリビングのドアを開けると、普段は帰宅してる時間ではないパパがいた。
「あら、パパ。今日は早いのね」
「うん。ちょっとふたりに聞いてほしいことがあってね」
もしかして今朝話していた海外旅行のことだろうか。もうこの際だからパッと贅沢をして遊びたい気分だ。
「パパね、会社のお金を横領してることがバレちゃったよ」
パパは明るい笑顔とは裏腹に、とても怖いことを言った。
横領……? 聞き間違い?
「警察も動くと思うし、この家にもいられない」
「ちょっと嘘でしょ?」
「嘘じゃないよ。未来も知っていたことじゃないか」
……え?
「そうよ。未来ちゃん。私たちそうやって暮らしてきたでしょう?」
ママの言葉に体が後ろに倒れそうになった。



